中国茶の時間「茶詩・漢詩と中国茶と」大暑のころ

 一年のうちで最も暑さがきびしくなる「大暑」のころ。
夏の暑さにちなんだ漢詩二編を読み、
お好きな一節を和紙に書き写しました。


その漢詩をご紹介します。
一つめは、「夏日題悟空上人院」。
晩唐の詩人、杜荀鶴(とじゅんかく)による詩です。


「暑い盛りに、戸を閉め切って僧衣を着ている。
松や竹が涼しい影を部屋に落としてくれることもないが、
心中の雑念を消し去れば、燃えさかる火の中にあっても
涼しさを感じるものだ」という意味の詩です。


七言絶句の最後の行にある
「滅却心頭火亦涼」は、禅語にもなっている「心頭滅却」の
語源にもなりました。


もう一つは、北宋の詩人・蘇軾(そしょく)の
「足柳公権聯句」。
この詩は、連歌の形式を取っていて、
唐代の文帝と柳公権という二人の詩人の詩を二行ずつつなげ、
最後に蘇軾の詩を四行連ねています。


こちらは「世の人々は猛暑を嫌がるが、
私は長い夏の日が好きだ」という心境を詠んだ詩。


どちらも暑さを暑さとして受けとめながらも、
現実を超えた境地を感じさせる詩です。
猛暑が続く毎日ですが、一時暑さを忘れる心地がしました。


今日の花湯は、フレッシュなミントと龍井茶をミックスした
「モロッコ風ミントティー」、
中国茶は、2006年の鳳凰単ソウ、
点心は、粽でした。


8月は夏休み。次回は、9月10日(火)に開催します。