【中国茶の時間「茶詩・漢詩と中国茶と」】中秋のころ

毎月、季節に沿った花茶中国茶、点心を楽しみ、
時候の漢詩に親しんでいます。


今月は、九月九日の「重陽(ちょうよう)」、
そして八日の「中秋」にまつわる漢詩二編が紹介されました。


一つめは、北宋の詩人、魏野(ぎや)の「白菊」。
晩秋の夜、群がって咲く白菊を灯りとして読書を楽しむ心地を詠んだ詩。
月の出ない暗い夜にあっても、白菊の明るさが際立つ様子が見えるようです。


もう一編は中唐の詩人、劉禹錫(りゅううしゃく)の「望洞庭」。
こちらは秋の月夜。
月光と湖の反射とがよく調和し、磨いていない鏡のようだとあらわした詩。


唐時代の詩は千年以上前につくられたものですが、
どちらも静かな秋の風情が今の世にもしっかり伝わります。


この日の花茶は、菊花茶
中国では、菊は典雅で文人的、
またほかの花が散っても残って咲く強さから「残花(ざんか)」とも称されるそうです。
清朝年間から皇帝への献上品とされてきたことから「貢茶(ゴンチュウ)」と呼ばれたそう。
安徽省黄山産の貴重なお茶です。


湯をさすと、乾いた菊がしだいにふっくらしてきます。
あたりに漂う菊のさわやかな香り。湯をつぎ足しながら、少しずついただきました。
乾菓の「月餅」には、うさぎが杵をつく様子が刻まれていました。

この日の中国茶湖南省の「君山銀針」。生産量がとても少ない「黄茶」に分類されます。
湯をさしてしばらくすると、上からも下からも茶葉が立ったようになります。
この状態が「銀針」と表現され、飲み頃のサインでもあります。

昔、皇帝が飲んだであろう菊のお茶と、めずらしいお茶をしっかり味わいました。
次回は10月21日(火)に開催。
二十四節気の「霜降(そうこう)」を前に、晩秋の風情を存分に味わいます。
お楽しみに。


点心:饅頭(マントウ)
乾菓:月餅、ドライフルーツ、ナッツ
花湯:菊花茶
茗:君山銀針