【中国茶の時間「茶詩・漢詩と中国茶と」】雨前のころ


今年初めての中国茶の時間「茶詩・漢詩中国茶と」。
教室も新学期を迎えました。
中国茶漢詩も、この季節ならではのものが選ばれました。

4月5日の節気「清明」と4月20日の「穀雨」にはさまれた期間は「雨前(うぜん)」といわれ、
この時期に摘まれた茶は特に珍重されるのだそうです。


新茶を2種ご紹介しましたが、まず最初にいただいたのが「竹葉青(ちくようせい)」。
四川省を代表する緑茶です。
お茶をあらわすのに「一芯二葉」という言葉が使われますが、
この竹葉青は、「一芯」のみ、つまり葉が出る前の若い芽のみ摘み取ったお茶。
茶葉は、竹のかたちの茶則に乗せて。
若い茶葉の美しさを眺めるのにふさわしい、フルートグラスに淹れました。


芝草のような豆のような、摘まれてまもない茶の風味を味わいました。
このお茶は「豆香(まめこう)=豆のような香り」と表現されるらしく、
乾菓は殻付きピーナッツです。


もう一つの新茶は、「黄山雀舌」。
小さな芽だけを集めた茶葉で、そのかたちが「雀の舌!」に似ているとされています。
湯を差し、開いた茶葉はこんな感じです↓



今月の漢詩は、四川省出身の詩人、杜甫(とほ)の詩を二編。
「重過何氏五首」と「絶句二首」です。


「重過何氏五首」では、「春風啜茗時」という一節があります。
これは「春風に吹かれながらお茶を飲むのは、なんと楽しいのでしょう」という意味で、
春らんまんのこの時期の心地とかさなります。

もう一編の「絶句二首」は、絵を詩に置きかえたような
山水画の趣きがある漢詩です。
「春風花草香」、「春の風にはこなれて花や草が香ってくる」という一節が、今の季節にぴったりです。

二編の中から、お好きな一節を和紙に書きうつしました。


点心は、この時期だけ出回るタケノコを使った「筍飯」。
タケノコは四川省の特産品でもあるのだそうです。


5月もまだまだ新茶をご紹介します。お楽しみに!


茗:四川竹葉青、黄山雀舌
点心:筍飯
乾菓:花生実
詩:杜甫「重過何氏五首」「絶句二首」より