【中国茶の時間】「茶詩・漢詩と中国茶と」霜降のころ


暦の上では、北国に霜が降りはじめる節気「霜降」のころ。

今月の花湯は、今年の秋に咲いたキンモクセイのお茶でした。
福建省キンモクセイは、桃のような甘い香りがするのが特長です。
点心の焼きまんじゅうといただきました。


十月の漢詩は、もうすぐ見頃を迎える金木犀をモチーフにした「感遇」。
唐代の詩人 張 九齢(ちょう・きゅうれい)の作です。
桂花(けいか)とはキンモクセイのことですが、
この詩では金木犀ではなく白い木犀の花が描かれています。


張 九齢は、玄宗皇帝と楊貴妃の時代に大臣として活躍した人物。
中央の政治からはなれて自然の風物に囲まれて
自由に暮らす心地が詠まれた詩です。
お好きな一節を和紙に書き写しました。


 中国茶は、安徽省の「太平猴魁(たいへいこうかい)」。
このお茶の製法は独特です。
茶葉が木になっている時に、一つひとつひねり、
ぺったんこな形にします。そうすることで日光の当たり方が調整され、
甘いお茶ができるのだそうです。


ちょうど日本の抹茶が、黒いシートなどで覆う「かぶせ茶」として
作られるのと同じ要領なのだとか。


さらに平たいお茶を麻布ではさみ、プレスをかけて仕上げるのだといいます。
茶葉に近づくと、こうばしい香りがするだけでなく、麻布の跡も見て取れます。
コクを引き出す淹れ方という「中投法(ちゅうとうほう」でいただきました。



次回は、11月19日(火)に開催。「立冬」にちなんだ漢詩中国茶を予定しています。