【英詩を読む】チョーサーとT・S・エリオット

今月のテーマは、チョーサーとT・S・エリオット
時代も作風も異なる二人ですが、
実は作品を通してつながりがあるのだそうです。


チョーサーは「英詩の父」とも呼ばれる、中世イギリスを代表する詩人です。


代表作『カンタベリー物語』は
イギリス国教会の総本山、カンタベリー大聖堂へ巡礼する人々を描いたお話。
物語が編まれた14世紀当時、ロンドンからカンタベリーへ詣でるのに
四日間はかかったことから、旅の途中に出会ったあらゆる職業の人々が、
旅籠で身の上話をするというもの。


原文は、現在使われている英語(モダン・イングリッシュ)とは発音もつづりも違う、
ミドル・イングリッシュ(中世英語)で書かれています。
今回は、ミドル・イングリッシュの朗読を聞きました。


一方、20世紀に活躍した詩人・劇作家のT・S・エリオットは、
その作品が難解であることでもよく知られています。
代表作の『荒地』の冒頭が、チョーサーの『カンタベリー物語』のことを言っているのだそうです。
「いわば本歌取りです」と武田先生。
そうして二人の詩人の世界がつながりました。


難しい作品がある半面、
エリオットは「キャッツ」の原作も手がけました。
こちらは洒落ていて軽い作風です。
多面的な魅力をもつ、エリオットの作品に少し近づけました。

次回は、クリスティーナ・ロセッティの特集です。