【永原康史展「星座の解体」開催中】

原康史さんの展覧会「星座の解体」がはじまりました。


ブックデザインやウェブプロジェクト、
展覧会のアートディレクションなどでご活躍の永原さん。
「デザインはコンセプト」というだけに、
ご自身の展覧会もコンセプチュアルでスタイリッシュです。
そのコンセプトについて、少しご紹介しましょう。


永原さんがモチーフに選んだのは、
フランスの詩人マラルメの詩「骰子一擲〈とうしいってき〉」の中で、
「星座」という言葉が出てくる一節。
その一節をコンピュータードローイングで描いたタイポグラフィ作品が展示されています。


コンピュータードローイングというのは
永原さんが名づけた手法です。
一文字ごとにランダムに設定することで、
その時々でコンピューターがランダムに文字を配置していきます。
コンピューターがレイアウトした文字は、
「プロッター」に取りつけた鉛筆が描いていきます。


作り手の意思というよりも、偶然によって生まれるコンピュータードローイングの作品。
それは、マラルメの詩のテーマが「偶然性」であることにもつながっているようです。
「骰子一擲」という難しい日本語ですが、「サイコロひとふり」という意味。
サイコロの目が振るたびに変わるように、プロッターで鉛筆が描くタイポグラフィも、その時々で変わるのですね。

できあがった作品は、「絵のような詩」ともいわれるマラルメの作品の世界にも通じています。


…というようなことをあらかじめ知っておくと、
作品を目にした時に「なるほど」と思えるかもしれません。
とはいえ、何も予備知識がなくても、
文字組みのかっこよさや鉛筆の濃淡などを、おもしろく感じていただけるのではないでしょうか。

あさって3日の土曜日は、いよいよトークショーの日。
永原さんとアーティストの藤本由紀夫さんが「デザインの風景」をテーマに対談します。
詳細はこちらでご覧いただけます。